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集合修習〜起案と模擬裁判と講義と寮生活〜

今回は集合修習についてです。

 

例の如く、箇条書きで自由に書いていきます。

 

・実務修習後の修習には、集合修習選択修習の2つがある。どちらも約2か月の期間である。

・修習地によって、A班とB班のいずれかに分けられており、A班ならば、集合修習→選択修習、B班ならば、選択修習→集合修習の順で修習をすることになる。

・A班は、大規模修習地とその周辺。B班は、地方の修習地。

・集合修習を先に受ける方が良いか、後に受ける方が良いかは意見が分かれるところ。しかし、自分で選択できるものではないので、決められたスケジュールの下で頑張るほかにない。

B班だと二回試験が直後に控えており、この頃には二回試験の問題も完成しているため、講義において教官からかなり具体的な示唆があると思われる。実際、A班の人がB班の複数の人たちの予想を伝え聞いたが、概ね一致しており、その部分が本番でも出題された。通常の勉強ではあまりマークしないような部分もあった。A班でもそういった情報は得られるので、心配はないが、A班の人の方がそのような情報を得にくいのは間違いないので、情報源を増やすために横の繋がりは大事にしておくと良い。

・集合修習の内容は、起案、模擬裁判、講義である。

起案は、二回試験に直結するため重要である。各科目2回ずつ成績評価の伴う起案があり、二回試験とほぼ同じ条件で実施される(時間は二回試験よりも1時間短い)。

・起案が続く週は、かなりタフな期間となるので体調管理には十分注意するように。自分は、1週目の起案の時、寮のエアコンの内部が汚れていることに気づかずに使った影響で喉をやられており、かなり大変な思いをした。

・各科目の対策については、以前投稿した記事をご覧頂きたい。自分も集合修習の起案や二回試験の前は同内容のまとめを確認して臨んでいたので、それなりに有用だと自負している。自分の集合修習での反省も盛り込んでおいた。

・起案の成績は、科目や教官により3段階5段階でつく。クラス内のみでの相対評価となり、Aが最高評価。

・3段階であれば、上が3割、真ん中が4割、下が3割という区分。5段階であれば、上の3割のうち5名程度がA、残りがB、下の3割のうち5名程度がE、残りがD、真ん中の層は全てCという振分け。

・5段階のAは、起案のための勉強に力を注いでいる層の人たちがとる。裁判官、検察官志望の人たちや良い成績をおさめることを大きな目標としている人たちは本気で獲りにきているので、もしそこを目指すなら相応の準備と覚悟が必要だと思う。

・3段階のA(=5段階のBまで)は、必要なポイントを抑えていれば、ある程度安定して取れるはず。このあたりの位置にいれると、二回試験に安心して臨める。

・正直、3段階のBやCの多く(=5段階のCやDまで)は、ほぼ団子状態だと思っている。仮にこれらの成績をとっても落ち込みすぎる必要はない。できなかったところを改善すれば、大きく成績を伸ばすこともできる。

・危ないのは、3段階のCの中でもひどいと判断される場合(=5段階のEをとってしまった場合)。この場合、教官からの呼び出しがあるらしい。近年の結果を踏まえると、このレベルにならなければ不合格にならないはずであるから、絶対にこれは避けるようにしたい。

・当然ながら、起案の解説はとても大切。各科目2回しかこのような起案の機会はなく、科目によっては、1回ずつ性質の異なる起案をすることになるので(例えば、刑事弁護では、1回が無罪弁論、もう1回が量刑弁論)、ひとつひとつが重要となる。

・成績優秀者に答案を見せてもらうのは、とても勉強になると思う。中には、勉強会を実施して教官的な役割を務める修習生もいるらしい。

・成績がつく起案以外にも、数回即日起案があった。これも実力を測るには良い機会だったと思うし、類題が二回試験で出題されることもあるので、しっかり復習しておくことをおすすめする。

・起案はかなり大変ではあるが、始まってしまえばあっという間に時間が過ぎるので、意外と好きだという修習生も多かった。

 

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模擬裁判は、民事と刑事で1回ずつある。1回と言っても、最初から最後までの手続を数日に分けて行うため、かなりのボリュームになる。

・1クラスで行うため、実際に自分が携わる部分は限定されている。とはいえ、当事者意識をもって全てのカリキュラムに臨むことが求められている。

・配役は、自ら希望できる(もちろん、人数の関係で必ず希望通りということにはならない)。配役や手続のタイミングによって、準備期間が変わるので、起案その他のスケジュールとの兼ね合いも意識して希望を決めると良い。

・あれだけの大人数になれば同じチーム内でも一枚岩ではないし、そうでなくても齟齬が出てしまう部分はある。足並みを揃えることは強く意識しておいた方が良い。

・自分は、民事では反対尋問、刑事では冒頭陳述を行った。

・民事の反対尋問は、証人役の修習生が敵性証人らしく振る舞ってきたので苦慮した。しかし、その苦慮の根幹は、証人役の修習生が主尋問と反対尋問で異なっていたところ、私の反対尋問の時に「そのような言葉は言っていませんけど」と言われてしまい(主尋問の証人役はその言葉を使っていた)、人が違うだけに「さっきその言葉を自分でお使いになってましたよね?」とは指摘できなかったという模擬裁判特有の穴にあったと思っている。こういう穴は色々なところに現れる。敵性証人らしい振る舞いは、実務でもあり得るなと思えるほど上手だったので、大変勉強になった。

・刑事の冒頭陳述は、グループを代表して私が行うことになった。これだけの司法試験合格者の前で、冒頭陳述をする機会というのは最初で最後だと思ったので、思い切って原稿は持たずにペーパーレスでやってみた。失敗や反省点は多いが、リスクをとった分の気づきもあった。模擬裁判のルール上、冒頭陳述メモは配布していなかったのに、裁判官役の人まで下を向いていて自分と目が会う人がほとんどいなかった。目を見て伝えたいことを届けることがいかに難しいか良く分かった。

・いずれの模擬裁判も、起案の合間に準備をしたりしなければならず大変であったり、上記のように人数の多さによるやりづらさや模擬裁判特有の穴があったりするが、あの短期間の中で行うことを前提として設けられたカリキュラムとしては、非常に素晴らしいものであった。色々な修習生のやり方を見れるのも面白い。

実務修習(刑事裁判修習)中に行った模擬裁判での反省点等も意識してみると一歩前進できるのではないか。

講義は、導入修習中のみでは足りない部分を補完していくような感じ。講義と合わせて、模擬法律相談等のロールプレイング的なことをする機会も多かった。

導入修習とは異なり、人との交流を増やしすぎないようにしていた。集合修習は、ある程度腰を据えて勉強する時間に充てたり、自分の時間を大切にしたかったからである。

・とはいえ、研修所の敷地内にあるグラウンドやテニスコート、体育館で体を動かすことも多かったし、日帰り旅行に行ったりもした。土日に色々なところに出向いて、勉強させてもらう機会も何度かあった。

・寮生活は、通勤時間がないという1点だけ見ても快適だと思う。もちろん、生活スタイルや様々な事情を踏まえると何が最前かは一概には言えないが。

 

集合修習では、やはり起案を最も意識すべきだと思います。私が言わなくても、意識せざるを得ない状況になるでしょう。ここで真摯に取り組んでおけば、二回試験本番でも失敗するリスクを限りなくゼロに近づけることができるはずです。

この記事を読んでくださった修習生の皆様がこれまでの修習で培ってきた力を存分に発揮して、良い2か月を過ごせますよう応援しています。