二回試験対策(民事弁護)
民事弁護起案のまとめです。
教官のおっしゃっていること、司法研修所で習うことが第一ですので、以下の記載とずれる部分がありましたら、必ずそちらを優先するようにしてください。
1 前提
導入修習や集合修習で配布されるレジュメに詳細な説明がある。このレジュメをきちんと理解することが大切。
2 危ないミス
・設問の指示に従わない。
・原告と被告、いずれの代理人の立場で書くかを間違える。
・既に変更、取下げ、撤回された請求や主張について記述。
・訴訟物や要件事実を間違えて検討する。
・争点の間違い。重要な争点を落とす。
3 主な問題の構成
第1問
小問1
訴状、答弁書、(最終)準備書面いずれかの作成
小問2
小問1につき検討したが記載しなかった事項についての説明
第2問以下 ※出題数は様々
立証、執行保全、和解条項、法曹倫理等の小問
4 出題傾向の変化
特になし
5 訴状
・事実等を踏まえ素直な法律構成にする。
・「請求の趣旨」の記載は正確に。財産権上の請求の場合には、仮執行宣言の申立て(民事訴訟法259条)を忘れないように。
・「請求の原因」では請求原因事実を漏れなく記載する。
・「請求の原因」の記載は過不足なくシンプルに。ストーリーは「関連事実」の項目で書けば良い。
・想定される抗弁に対する再抗弁まで記述するかは要検討。記述せずに「検討したが記載しなかった事項」の方でフォローするという発想もあり得る。(どちらで書いても基本的には点数に大きな支障はないものと考えられる。)
6 答弁書
・基本的に、訴状の裏返しなので考え方は上記と同様である。
・「請求の趣旨に対する答弁」では、数個の請求がある場合「いずれも」と記載することを忘れないように。(ただし、主たる請求と附帯請求の場合は記載しない。)
・「請求の趣旨に対する答弁」では、詳細に認否をする。
・認否の態様は、①認める(自白(民事訴訟法179条))、②否認する(民事訴訟規則79条3項)、③不知(民事訴訟法159条2項)、④沈黙(認否漏れとして擬制自白(民事訴訟法159条3項、1項))である。
・「認める」とすると自白が成立してしまうので、微妙な部分は「否認する」とするのが穏当。
・これに関連して、「その余は認める」とすると予期せぬ自白が成立しかねないので、基本的には「認める」部分を具体的に記述したうえで「その余は不知」又は「その余は否認する」という書き方にすると良い。
・「否認する」とした場合は、直後にその理由を必ず記載する(民事訴訟規則79条3項)。
・「被告の主張」では、総論として争点を頭出しした上で、各争点につき事実と証拠に基づく主張をしていく。
・争点は、争いのある主要事実である。(不知と否認のものが全て争点になる。)
・各争点につき事実に基づく主張をしていく際には、証拠に基づいて行う。
・用いる事実は、民裁のように動かし難い事実に限定せず、有利なものを取り上げていく。依頼者の供述は真実であることを前提として良い。
・不利な事実についてもフォローして説得的に。
・事実を着眼点にしたがって整理することで読みやすくする。(民裁における着眼点と同じ発想で整理すれば良い。)
・結論→理由の流れで書く。
・評価は経験則に根ざした説得なものになるように。
・文章の表現は、民裁のように「推認できる」といった書き方ではなく、代理人としての立場から「明らかである」「証左である」「自然である」といった言い切るような書き方にする。
・想定される再抗弁に対する再々抗弁まで記述するかは要検討。記述せずに「検討したが記載しなかった事項」の方でフォローするという発想もあり得る。(どちらで書いても基本的には点数に大きな支障はないものと考えられる。)
7 準備書面
・基本的には最終準備書面が出題されると考えて良い。
・最終準備書面は、全ての争点について、自己の請求に理由があること又は相手方の請求に理由がないことを、裁判所に対し説得するため、総力を上げて論証するもの。そして、第一審において尋問の結果を引用できる唯一の準備書面である。争いのない事実につき詳細に論じる必要はない。
・次からは、基本的に上記6で記載したことと同じである。
・まず、総論として争点を頭出しした上で、結論を示す。そして、各争点につき事実と証拠に基づく主張をしていく。
・争点は、争いのある主要事実である。(不知と否認のものが全て争点になる。)
・各争点につき事実に基づく主張をしていく際には、証拠に基づいて行う。
・用いる事実は、民裁のように動かし難い事実に限定せず、有利なものを取り上げていく。依頼者の供述は真実であることを前提として良い。
・不利な事実についてもフォローして説得的に。
・事実を着眼点にしたがって整理することで読みやすくする。(民裁における着眼点と同じ発想で整理すれば良い。)
・結論→理由の流れで書く。
・評価は経験則に根ざした説得なものになるように。
・文章の表現は、民裁のように「推認できる」といった書き方ではなく、代理人としての立場から「明らかである」「証左である」「自然である」といった言い切るような書き方にする。
・良くない論述例として、要件事実を意識していないもの(経緯型)、推認過程を意識していないもの(事実羅列型)、重要な事実についての論述が薄いもの(バランス喪失型)、反論一辺倒で自己の主張がないものや相手方の有効な反論を無視しているもの(主張立証不足型)、当事者や証人の信用性を一括して否定するもの(人証一括否定型)があげられる。
※訴状、答弁書は『民事弁護の手引き』の記載例を、最終準備書面は導入修習で配布される記載例を参考にすると良い。
8 検討したが記載しなかった事項
・基本的に書くことがなければ、「特になし」等と記載して終わり。
・悩みがあった場合は、ここに書いておけば保険をかけることができる。
・不知として争点になったが、証拠から認められることが明白であるため、あえて主張しても意味がないような場合や上記のように相手方の反論を踏まえた再反論を書かなかった場合等を説明することが想定できる。
9 小問
※出題数は様々である。
※穴埋め形式が原則だが、穴埋め形式でも文字数の多い記載を求められる場合や記述式の場合もあったりする。
※実務修習を通じてこれらの事項について具体的に理解を深めておくと安心。
⑴ 立証
・戸籍等に関する証拠収集活動等につき問われる。
・導入修習のレジュメが大切。
⑵ 執行保全
・執行保全の基本的な知識が問われる。
・事前課題の復習や導入修習のレジュメが大切。
⑶ 和解条項
・和解条項案の文言を記述することを求めるような出題がされる。
・導入修習のレジュメが大切。
⑷ 法曹倫理
・事例における法曹倫理上の問題点につき検討するような出題がされる。
・法曹倫理からの出題がある場合、弁護士職務基本規程の条文はレジュメや記録の形で配布される。
・導入修習・集合修習のレジュメが大切。
10 ポイント
・法律構成を適切に。そのためには、要件事実の勉強が大切。
・できる限りたくさんの事実を拾う。
・経験則に基づき説得的な評価をする。
・読みやすさが大事なのでナンバリング、見出し、改行、改頁等を工夫する。
11 使っていた教材
※要件事実及び事実認定は、民裁の勉強と同じ。民弁では、代理人としての立場で書くということが違いとなるので、その点を意識した型を確立しておくことが大事。
<要件事実>
・『新問題研究 要件事実』(白表紙)
・『事実摘示記載例集』(白表紙)
・『紛争類型別の要件事実』
・『要件事実30講』
<事実認定>
・導入修習で配布されたレジュメ
・『民事弁護の手引き』(白表紙) ※専ら記載例のみ参照
<小問>
・導入修習・集合修習で配布されたレジュメ
・『予備試験論文2 民事実務基礎』
以上です。
冒頭の繰り返しになりますが、教官のおっしゃっていること、司法研修所で習うことが第一ですので、これまでの記載とずれる部分がありましたら、必ずそちらを優先するようにしてください。