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実務修習(弁護修習)〜煮魚に気をつけて〜

各実務修習について記事にしていこうと思います。今回は第1クールだった弁護修習について。

第1クールは、1月上旬から2月末まででした。 

 

箇条書きで自由に書きます。

 

・配属先の事務所はいわゆる街弁。

・配属先が決まってすぐ連絡をした。

・指導担当の先生は60期前半で、修習地以外に東京の事務所での勤務のご経験がある。専門分野もお持ちで、私が思うかっこいい弁護士像にあてはまる素敵な方だった。

主として指導担当に付いて修習をするが、関心やお誘いがあれば適宜他の弁護士に付いても良いことになっており、携われる事件の分野が多いという意味で自由度が高かった。

・配属先の事務所の先生方はそれぞれ扱う分野に特徴があり、仕事のやり方もそれぞれに個性があった。

・そのため、かなりバランスよく勉強をさせて頂けたと思う。結果的に実務修習結果簿の全ての欄を埋めることができた。

・修習前、同じ修習地で修習をされていた先輩が自分の配属先の事務所は素晴らしい事務所だとおっしゃっていたが、本当にその通りだった。(ある程度リサーチをしておくと準備できることもあるかもしれない。)

・修習地の他の事務所や弁護士からとても信頼されている事務所・先生方だった。

・裁判所からの信頼も厚いことは薄々感づいていたが、後の修習を通じて確信に変わる。

・このような環境で修習をできたことはとても恵まれていることだと思う。

・そういった事務所であっただけに、ある程度要求水準が高かった部分もある。第1クールで何も分からない状況において、苦戦することも多かったのは間違いない。

・後から知ったのだが、自分の指導担当がこれまで見てきた修習生は全て大手事務所の内定者だったらしい。そしていずれも第4クールでの担当。そういった方たちと同じ水準を要求してもらえるのは、大変ありがたいことである。

・起案の種類は様々。法律相談の予約分で事前に調査が必要な場合のリサーチペーパー作成、訴状や答弁書、準備書面の起案、弁論の起案、尋問事項メモの起案、手続関係の起案、和解条項の起案、過去の記録を使った起案等をした。今思えば、起案の出来はお世辞にも良かったとは言えない。

・起案以外は、基本的に先生について回ることになる。法律相談や期日への立会が多い。

・ひとつ上の71期の方が入所されたばかりだったので、弁護士1年目の様子を知ることができたのも良かった。

・上の先生方からの71期の先生へのアドバイスは、修習生としてもとてもためになるものであった。

・期の近い先生がいると相談や質問をしやすくて嬉しい。

・裁判所の支部や警察署に接見に行く際、先生の運転する車に乗せてもらった。ちょっとしたドライブであり、気分転換になる。

・他にも執行の場面や顧問先への訪問等に同行することがあった。事務所の外に出ての修習は座学や記録検討とは違った経験ができている感覚があり刺激的なので好きな時間だった。

・接見等に携わっていた事件が無罪になった(公判は第1クール終了後だったが、選択修習で戻った際に様々な記録を読ませてもらった)。自分もこの事件に関する起案をいくつかしており、自分が起案したものをそのまま使っていただいたものもあるので、とても良い経験をさせて頂いたと思うし、幸運だった。

司法試験の科目の法律はいずれも何かしらで触れる機会があったので、意味があるんだなあと思った。民訴と行政法の知識が鍵になっている事案がとても勉強になった。

・主に修習時間外になってしまうため体力的にはなかなかハードだが、各先生方の委員会活動にもできる限り参加した。

・委員会の先生方も、修習生を歓迎してくださり、色々なアドバイスや熱い話をして頂いた。

・委員会活動以外でも、弁護士の講演会や他士業との交流にも連れて行って頂いた。先生が行けない場合に1人で突撃することもあった。ちょっと怖いが、修習生なら大体あたたかく迎え入れて頂けるので大丈夫。

里親里子制度会内留学と名称は修習地により異なるが、指導担当の許可が得られれば配属先以外の事務所で修習させて頂くこともできる。

・自分もこの制度を活用して他の事務所の先生にもお世話になった。就活や講演等をきっかけに自分が知っていた先生にお願いしてみたり、配属先の事務所では取扱いのない分野の事件を抱えている事務所に指導担当から交渉して頂いたり(個別のメールや弁護士会のメーリスを使ってくださっていた)、ある日の午前中に裁判所へ行った先で会った指導担当の先生のお知り合いが「午後から修習生の勉強になるやつがあるからyou来ちゃいなよ」と誘ってくださったりと色々な形があった。

・事務所ごとにカラーがあり、記録の作り方ひとつをとっても違ったりするので、比較の視点で学べるのがこの制度の良い点である。

・月1開催の事務所会議にも参加した。事務所運営の難しさを肌で感じた。

・弁護修習は何といっても積極性が必要だと思う。もちろん、他の実務修習でも積極性は必要なのだが、弁護修習は、修習内容や状況が様々なので、より良い成果を得るためには、自分なりに一生懸命やってみる、チャレンジしてみるという姿勢が大事だと思う。

・正解がない部分もあるので、自分だったらどうするか、どうしたいか、どうするべきかを良く考えるようにしていた。その過程で必然的に法律面での様々な思考を巡らせることができ修習の実をあげられるし、仕事に対する考え方を整理する良い機会にもなった。

・学びの対象は、指導してくださる方に限られない。相手方弁護士をはじめとする関係者の動きから得られるものもある。

・事務員さんの動きや電話対応も参考になる。集中力が切れた時とかに、事務員さんが電話で話している内容から弁護士の先生方の今後の動きを予測したりして頭の体操をしていた。

・配属先の事務所のHPは良くチェックしておくと、色々な質問ができると思う。HPを見ておいたことで、過去の事件のこと、専門分野のこと、弁護士としての様々な活動のこと、事務所のこと等を掘り下げて聞くことができた。話が得意でない修習生でも間が持つと思う。

・弁護修習は、同じ班のメンバーと会う機会がほとんどないので若干心細い。

・特に第1クールは、班のメンバーとの関係性もまだきちんとできていないため、気軽に連絡を取れる間柄の人も少なく、他の修習生の様子が分かりづらい。

・私の修習地では、第1クールの折り返しの時期に弁護士会の司法修習委員会の先生と弁護修習中の修習生との懇談会があり、それまでの修習の状況や要望等についてお話をした。これは、周囲の状況の把握に繋がり、修習へのモチベーションや足りないところの気づきを得ることに繋がったので有意義であった。

・1番大変だったのは、お昼ごはんである。配属先の事務所では、お昼は、所内で行ける弁護士が全員一緒にお昼ごはんを食べにいくという流れになっていて、自分はご馳走になるのだが、全員食べるのがとても早い。自分が食べているのをお待たせする訳にはいかないので、本気で食べていた。それでも、全然かなわない。

・お昼ごはんでお待たせしないテクニックをいくつか紹介する。まず、メニューは先生の頼んだものとできるだけ同じにする。違うものを頼んで自分の方が後に出された場合、その間の分だけハンデを負うことになる。また、食べやすい料理を選ぶ。難しいやつを選ぶと苦戦する。そして、お腹はできるかぎりすかしておく。良い状態でお昼ごはんに臨むことで良いパフォーマンスを発揮できる。フードファイター的な発想が大事。割と本気のアドバイス。

・というのも、一度、先生達が頼んでいない煮魚定食を頼んだときに悲劇を経験した。自分の煮魚定食が最後に出たのだが、その時点で先生方は半分くらい食べ終えており、相当のハンデ。必死に取り返そうと箸をすすめるも、煮魚にはホネがたくさんあり、口の中を痛めつけてくるのである。心の中で「ホネ!」とずっと思っていた。そして、煮魚の上に乗った白髪ねぎが撹乱をしてくる。白髪ねぎだと思って口に運ぶとホネで、ホネだと思って口に運ぶと白髪ねぎで…心の中で「ホネ!ほんとに!ホネ!」と叫んでいた。かくして口の中を血だらけにしながら、先生方から大分遅れて食事を終えるのであった…

・もちろん、先生方は優しいので待ってくださるが、時間をかけてしまうのは申し訳ないのでできる限り気をつけるようにした方が良い。

・第1クールが終わってからも度々配属先の先生にはお世話になっていた。第1クールが弁護修習であったことの良いところだと思う。

・他に第1クールが弁護修習であったことの良いところとしては、その後に他の実務修習を経ることで、選択修習のホームグラウンド修習で戻った際に、新たな視点を持って再び弁護活動を学べるという点もあげられる。また、第1クールで見た事件のその後を広い範囲で知れるという点も良いところである。

・自分の修習地では、本庁といくつかの支部のいずれかの事務所に配属されることになり、それによって若干動きが変わった。支部だと配属先の事務所が2つで、約1か月ずつ過ごすような形になったり、支部に配属された修習生のみを対象とした起案や勉強会があったりしたらしい。

・指導担当の先生や配属先の事務所との相性で弁護修習の感想が大きく変わってくる。運の要素も大きいが、少なくとも、自分から関係性を損ねるような行為はしないよう努めることは大事。

・私の修習地では、配属先は、修習地の弁護士会の司法修習委員会に所属する弁護士が決めていた。住所や性別、経歴等を踏まえてできる限りマッチするように配慮して頂いていたと思う。

・女性の修習生には、なるべく女性の指導担当が付くようになっていた。男性の指導担当であっても、色々な意味で信頼のおける方が選ばれる。相対的に女性の修習生の方が良い指導担当に巡りあいやすいといえる。

 ・実務修習結果簿は時々書いておくことをオススメする(手書きよりもPCでの作成が圧倒的に楽だし見やすい)。最後にまとめて書くのは相当な負担になる。特に弁護修習は自分しかやったことを把握していないし、内容も多岐にわたるので早め早めに書いてしまうのが吉。

・先生方のおすすめの本とかもっと聞いておけば良かったなと思う。

 

とにかく色々なことにチャレンジするのが弁護修習の醍醐味なのかなと思います。