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修習生のSNS利用〜最後までサバイブしよう〜

SNSは諸刃の剣。

使い方によっては様々な可能性が広がります。

他方で、炎上のリスクや所属するコミュニティからの処分の対象となることも。

 

自分は、大学時代にSNSの法的問題について卒業論文を書いたことがありまして、ネットの使い方に関してある程度自分なりの考え方を持っています。

その点も踏まえつつ修習生としてのSNS利用について1年を通して思ったことを書いていきます。例の如く箇条書き。

 

・SNSはあくまでツール。ツールに振り回されない。

守秘義務を遵守しないといけないという意識はみんな大なり小なり持っていると思う。けれども、(実際には問題にはなっていないけれど)つつかれたら結構問題になりそうな内容のものは少なくない。

・守秘義務を守れるかどうかは、法曹としての信頼だけでなく、仲間うち等での信頼関係にも影響する。

・そういう点も含め、セルフブランディング的な視点も持ってSNSは使った方が良い。

・使い方が上手な人はSNSのメリットを大きく享受しているイメージがある。逆の方は評価を下げてしまっていたりする。

・ポジティブな人、ネガティブな人、楽しそうな人、真面目な人、クレイジーな人…色々いるけど個性と言える範囲内なら自由にやればいい。(そして色々な人がいるのがSNSの面白さでもある。)

・では個性と言えない範囲とは?人を傷つけるような内容の発信をするもの、プライバシーに踏み込みすぎてしまうもの、セクシャルな内容が多すぎるものなんかがこれにあたると思う。

・この線引きは、時と場合、そして人によるので難しい。個人的なラインとしてひとつ例を考えてみた。アカウント名が「おしりかじり虫」ならセーフだが「おしりペロペロ人間」だとアウトな感じがする。

・人によって線引きが異なる以上、SNSの使い方の基本線は、ほとんどの人との間でラインを超えないと断言できるレベルで動くということになるだろう。

・ただ、SNSの面白いところは、そのラインをあえて飛び越えることで、強烈な個性を発揮し、それが多くの人に受け入れられる場合があるということ。なので、結局正解なんてあってないようなものである。

・それでもセーフティに動くことを原則にした方が諸々の事情を考えると良いと思う。あえて飛び越えるならやり切る覚悟や算段が必要。

・72期でも修習前から炎上で消えたアカウントがあったし、修習を通じてアカウントを消したり、使わなくなる方もいた。

・修習前の炎上は、修習地が決まったことに関するTwitterのツイートで、その修習地の女性の見た目について言及するものだった。関係者が見れば怒るのも当然で、アカウント名もおそらく本当の名字だったので消すしかなかったのだろう。

・修習中だとやはり守秘義務違反に近いものが危ないと思う。関わった事件のことや記録の内容への言及はしないようにするべき。あと撮影禁止や常識的に考えてそれに相当する物や場所も多いが、そういうものを掲載するのもアウト。この手の関係で消えていったアカウントもあるし、注意を受けた人もいると聞く。

・もちろん、飽きたりしてやめる人もいるのだと思う。そこにあたりそうな方たちは最初の頃にエンジン全開だった印象がある。これはこれでもったいないけれど、個人の自由。

・結局、現時点で残っていて、かつ、実働している72期のアカウントは限られている。なかなか良いコミュニティでもあると思っているだけに悲しい。

・残っているアカウントは、セーフティに動いているものか突き抜けているものになると思う。どちらのコースで行くか決めてしまうと運用しやすくなると思う。

・どういう形であれ自らのスタイルを貫いて続けているアカウントは面白い。小池百合子風に言えば「サスティナブルな」運用というのは大事なのだと感じる。小池百合子風に言う必要ないけど。

・アカウント名を実名にしたり、修習地を明らかにしたり、経歴を必要以上に出すと、書き込みと相まって特定に繋がり、ひいては守秘義務違反等になり得る。

・なので、実名や修習地を積極的に記載するのにはそこそこのリスクがある。(もちろん、人と繋がりやすいというメリットもある。どこまでやるかは良く考えた方が良い。)

・鍵をかければ大丈夫というものではない。スクショや引用RTとかすれば、容易にブロックは破れる。

・SNSは自由さが売りだけど、自由には責任が伴う。責任を意識しないムーブは反感を買ったり、炎上のリスクに繋がる。

・対人に関するツイートは、実際にその人を目の前にして同じことを言えるかというのを考えると良い。

・SNSの利用者は、現実の世界の一部でしかないことを忘れないように。SNSでの多数派が世の中の少数派であることも珍しくない。

・SNSごとの性質の違いも理解しておくと良い。

・SNSをきっかけに知り合ったり、お誘いを受けたりすることもある。これは素晴らしい。

・自分はSNSがきっかけで入所前の現時点で顧問契約してくださる企業ができた。

・修習生については先輩方がかなりオープンに受け入れてくださるので気になる方には声をかけてみると良い(礼儀と節度は守る)。

・良く「当局の監視が…」的なことをおっしゃる方もいるが、研修所もそんなに暇ではないと思う。チェックの対象は常識やルールから逸脱したもの程度にとどまると考えている。後ろめたいことがないのなら萎縮する必要はない。

・『Q&A弁護士のためのSNSの正しい活用術』という本が今年(2019年)に出ているので、SNS利用に自信のない方は読んでみると良いかも。修習生についての章もある。(分かっている人には当たり前の内容だけど、実践できていない方は弁護士にも少なくないと思っている。)

・自分のSNS利用のスタンスは、Twitterアカウント(@mick_kitten)を実際に見てもらえればなんとなく分かると思う。

・一応、簡単にスタンスを説明していく。実名、修習地、A班B班どちらか、経歴等をできるだけ分からないようにして動いている。

・ただし、一定の場合には身分を明かすし、必要以上に隠そうともしていない。バレないようにしようとも思っていないし、バラしていこうとも思っていない。どちらにも振れないのは結構強い。

・ストロングスタイルが好きなので鍵はかけない。鍵をかけてしまうとSNSのメリットが大きく損なわれてしまうし。

・キャラクターは真面目寄りにしている。実際は適当な部分も多い。

他人の批判はしない。SNSで批判して得られるものはないように感じる。

・書き込みを増やすほど特定される可能性も当然高まる。特定されたくないなら工夫しよう。

・例えば問題にならない程度ブラフフェイクを混ぜる。投稿「昨日5人でごはんにいきました」→実際にごはんに行ったのは2日前で人数は4人。少し情報をいじるだけでも効果は大きい。

・現段階で生き残っている72期の修習生のアカウントは参考になる。純粋に面白い方や有益な情報を発信している方ばかりなので是非フォローしてみることをおすすめする。

・SNSを使う方は是非最後までサバイブして欲しい。上手に使えば、修習の実も上がるし、楽しく過ごせる。SNSアカウントが無形の財産にもなり得る。

サバイブしない方が良い説もある。リアルが良ければそれで良いし。そういった意味でも冒頭に書いたようにSNSはツールでしかない。

 

 

以上です。

ちょっと上から目線っぽい書き方になってしまいましたが…何かしら参考にしてもらえる部分はあるかと思います。

楽しくSNSを利用して素敵な修習にしてくださいね。