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問題分析の視点

以前に事実上の誘導についての記事を書きましたが、問題分析の視点はその他にも色々あると思います。

自分の今後のための備忘録も兼ねて書いてみたいと思います。

 

・比較の視点

かなり使える。

平成30年度司法試験の民訴の設問1は、課題1と課題2を比較することでクリアできたと思っています。課題1は反訴、課題2は別訴という点に違いがあり、誰でも解ける課題1を叩き台に、それらの違いをどう捉えるかが課題2だと考えて解きました。

比較の視点を用いる際に注意しなければならないのは、違いがあるからといって安易に結論を逆にすれば良いということではないという点。平成24年度司法試験の刑訴の設問1の捜査2の2つの方法とかがまさにそれ。

 

・事実からの逆算

これは「現場で」というよりも、論証の使いどころなどを抑えるという事前準備の要素が強いですが、注意しておく必要があります。

司法試験の問題にある事実には必ず意味があります。条文や論点にリンクしているものばかりです。問題を読んで気になった事実で、答案構成の中で使い切れていない事実については少し立ち止まってその意味を考えてみると書くべきことに気がつける可能性があるかもしれません。

 

・実務的な視点

司法試験では誘導がない限り結論をどちらにしたからといって大きな差は生じないとされています。しかし、実務的な要素の強い科目では、実務的に穏当とされる結論がある場合が多く、そのような場合はその結論に向けた論述をした方が書きやすいし、説得的になる傾向にあると思います。そちらの結論になりやすいように問題文の事実に傾斜がかかっている場合さえあります。

実務的な要素が強いのは刑事系、次いで民事系といったところでしょうか。

本番ではそこに過度に執着する必要はありませんが、普段の勉強で意識しておくと本番で力を出しやすくなるのではないでしょうか。

 

・設問間の関連

これは商法でよくあるパターンです。続けてなされた手続等に繋がりがある場合には、設問で区切られているからといって分断してしまってはならないと。平成29年度司法試験の商法の設問2と設問3などがあげられます。

 

過去問を勉強することは、こうした問題分析の視点を見つけることにも繋がります(こういったところに気づくのが遅かったために合格までに時間がかかってしまったのだと思います)。この点も踏まえて取り組むと、負担の大きい過去問の勉強でもモチベーションを高く保つことができるかもしれませんね。