LAW BLOG

bar exam & legal news

使っていた演習本

ご質問が多かったので私が使っていた演習本をご紹介致します。


注意して頂きたいのは、合格者が使っていたりおすすめしている演習本を目的意識なく使うのは望ましくないということです。それぞれの演習本の特徴やご自身に必要な勉強などを総合的に見てどのように勉強をするかを考えることが何よりも大切だと思います。今回の記事で最も大事なことです。極端なことを言えば、以下は読まない方が良いくらいです。そんな感じで、あくまで参考程度のものだと思って読んでくださればと思います。

 

演習本を選ぶにあたっては合格体験記やブログなどを読んで各科目の良く使われている演習本をチェックしました。基本的に多くの受験生が使っているものは概ね良い演習本ですし、差をつけられないという意味でもできる限り受験生の波には乗っておいた方が安全だと考えたからです。これで使うべきほとんどの演習本は決まります。


あとは、自分に必要な勉強を考えて、それに役立つもの(網羅性があるもの、読みやすいものなど) を選ぶようにしました。


やり込む演習本は各科目2冊のイメージでいましたが、民事系は旧司法試験や予備試験を多くやる関係で1冊にしたり、公法系は薄いものを加えて3冊にしたりとバランスを考えて調整しました。

以下にあげる演習本は平成29年9月から平成30年5月までの間に6周以上は回したものです(「回す」というのは、私の場合、問題文を読み頭で答案構成をし、解説・解答例を読むという形でした)。

 

それではご紹介に移ります。全て上の期間において最新の版のものを使っていました。

 

憲法

・『判例から考える憲法』
憲法でベースとした演習本です。15~16回は読んだと思います。ここに出てきている判例(補足意見等も含む)・裁判例、学説をしっかり抑えれば理論面での基本を盤石にできると信頼を寄せて使っていました。当てはめなどへの言及は少ないので、そちらの対策は他の演習本や過去問などを通じて別途行う意識でいました。試験委員の小山剛先生が携わっているのもなんとなく心強い。

・『憲法ガール』
新司法試験の過去問のポイントと判例を意識した答案とはどういうものなのかが分かります。ただし、解答例は長すぎるため実際的ではないことは意識するように努めました。そのため、過去問のポイントと憲法の答案の勘所を抑える目的で軽めに読むような形で使っていました。
第2弾が最近出たらしいのですが私は使っていません。

・『事例研究憲法』
理論とあてはめをバランス良く勉強できます。『判例から考える憲法』と類似の問題が少ないので、守備範囲を広げる意識で使いました。1問あたりのボリュームは多いので、上手に付き合っていく必要があると思います。出題される可能性のある統治の問題も数問あり、これをやっておくことで精神的な不安が減らせました。

 

行政法

・『基礎演習行政法』
行政法でベースとした演習本です。これも15~16回は読みました。私にはとても読みやすかったですし、薄くて読み切りやすいのに論点の網羅性もあるので重宝しました。

・『行政法ガール』
過去問検討は比較的面倒だと思って後回しにしてしまう節があるので、勉強に着手するハードルを下げるために使っていました。『憲法ガール』よりも淡白な気がするので、解答例だけをさらっと読む感じで使うことが多かったです。

・『事例演習行政法』
多くの受験生が使っていることもありしっかりやっておくべきだと思い使っていました。網羅性が高いのが良い点ですね。
内容的にハイレベルな問題も多いので深入りしすぎないように注意していました。試験的に参考になるコラムもいくつかあります。

 

民法

・『事例で学ぶ民法演習』
民法を丁寧に勉強できる本だと思います。民法は旧司法試験や予備試験の過去問を中心に勉強していましたが、その補完的な位置付けで使っていました。所々、特別法の話や学説の込み入った解説も混ざっていますが、その辺はかっこでくくって2周目からは読み飛ばすようにしたらかなり使い勝手が良くなりました。

・『要件事実論30講』

問題演習の部分の問題と解答部分のみ読むというのを繰り返しました。これだけなら、1周するのにあまり時間はかかりません。

要件事実をおさえることで、論文における論述の枠組みをきちんと捉えられるようにすることを目的にしていました。

 

商法

・『ロースクール演習会社法』
必要な知識の多くが集約されていると思い、ベースに据えた演習本です。見かけよりもボリューム感があり、何周もするのには多少苦労しました。答案に反映するにはどうすべきかを自分で考えなければならない解説が多く、自分の中で上手く消化しきれなかったのではないかという反省があります。

・『事例研究会社法』
個人的にとても良い演習本だと思いますが、この本の存在に気づくのが遅かったため納得がいくほど読み込めませんでした。商法に関しては旧司法試験や予備試験をやるよりも、こちらをやった方が良いのではないかとすら思うくらい魅力的な演習本です。コラムも試験的に使えるものが多くあります。

 

民事訴訟法

・『ロースクール演習民事訴訟法』
あまり使っている人はいないのですが、個人的に最も基本に忠実な勉強ができる本だと思い使っていました。当たり前のことをきちんと書くことの大切さが分かります。無駄な記述は一切なく、重要な論点については複数の問題で同じ文章で解説しているので、自然とメリハリのある効率的な勉強ができるのもとても良かったです。民訴も旧司法試験や予備試験の過去問を中心に勉強していたため、その補完的な位置付けで使っていました。

ちなみに、この本で得た民訴法17条の知識があったおかげで、平成30年度司法試験の設問1で焦らず事案を分析できました(得点に繋がったかどうかは分からないですが)。

 

刑法

・『刑法事例演習教材』
多くの受験生が使っているため使用しました。網羅性が高く、事実認定のポイントも勉強できるので重宝しました。特に各論をしっかり勉強できるのが嬉しい。1問あたりの負担も少ないので、サクサク読めるのも素晴らしいですね。所々、文章の短さゆえに理解しづらいところもありますが、そこは書き込みするなどしてカバーすれば2周目以降は問題なく読み進められます。

・『ロースクール演習刑法』
理論面をしっかり勉強できる上、答案にも反映させやすい形で書いてあるので『刑法事例演習教材』と双璧をなす演習本と位置づけて使っていました。

 

刑事訴訟法

・『事例演習刑事訴訟法』
多くの受験生が使っているため使用しました。丁寧に解説されていますが、その分1問あたりのボリュームは多いので加工をして読み返しやすいようにしていました。それでも、答案に書けるようなレベルに消化するにはヘビーだと思ったため、最終的には割り切って理解を深めるためのものとして読んでいました。

・『ロースクール演習刑事訴訟法』
解説のメリハリが悪いのでおすすめはしづらいです。刑訴は新司法試験の過去問中心の勉強の方が良いと考えていたので、全体像をサクッと掴むために使っていました。

 

知的財産法

・『演習ノート知的財産法』
答案例を読んでいるだけでも勉強になります。といいますか、私はほとんど答案例しか読んでいませんでした。解説も勉強にはなりますが、そのエッセンスのほとんどを答案例に抽出してくれているのでそれで良かったのかなと。ただ、答案例は三段論法が崩れているものや司法試験的な書き方と離れたものもあるので適宜加工していました。

・『論点解析知的財産法』
こちらも答案例がついているので使いやすかったです。また、司法試験の問題も一部扱っているので過去問検討もできるのは良い点かと。ただ、古いので最新判例や改正された条文に対応していないのは大きな問題だと思います。

 

以上です。他にも手をつけているものはたくさんありますが、注力して使ったものをあげました。

 

繰り返しになりますが、何を使ったかではなく、どのように勉強するかが最も大切だと私は考えています。