「相場」と「挑戦」
法律の世界は、これまでの判例・裁判例の積み重ねやたくさんの研究等によって、ある程度の「相場」が決まっている部分も多いところです。
この「相場」は、少なくとも携わる案件に関してはしっかりと抑えておかなければならないと思います。
見通しを外すとそれがダイレクトにお客様に影響することもあります。
一方で、
「相場だから」
とか
「実務ではこうするのが一般的だから」
とか
「認められる可能性が低いから」
といって、「相場」におさまるように動くだけで満足してしまわないように注意が必要だなとも思います。
そのように動くだけでは、早晩AIにとって変わられてしまう気がします。こわい。
「挑戦」することも時には必要なのでしょう。
もちろん、どこまで「挑戦」するかはお客様のご意向次第ではあります。自分のこだわりにお客様を付き合わせる訳にはいきません。
でも、お客様の選択肢や可能性を増やせるきっかけになるかもしれないので、常に「挑戦」は意識しておくべきなのかなーと思ったり。
そうそう。なんとなく「挑戦」がしやすい分野というものがあるように感じています。
たとえば刑事弁護の身体拘束に対する弁護活動。
「認められるのは難しいかもしれないけれど、やれることをとりあえずやってみる」という思考を行動に移しやすいなと思います。
実際に「相場」では身体拘束からの解放はまず難しいと思われる案件で、やれるだけのことをやってみたら勾留に対する準抗告が認容されたことがあります。やってみるものですね。
(ちなみに、準抗告を行うことで得られるものは多いと思っているので特別な理由がない限り必ずすると決めています。仮に棄却されてしまっても、その後にもらえる一枚紙の決定書から捜査状況や弁護人に求められている活動等、色々なことを推察することができます。)
要するに、「挑戦」のしやすさやリスクを見ながら、「相場」と「挑戦」のバランスをとっていくことが大切かもなーという話です。
上にあげた私の経験はとてもラッキーなケースです。基本的には上手くいかない「挑戦」の方が多いはず。
一生懸命取り組んだ活動が認められないと自尊心が傷つきしょんぼりします。
そもそも「相場」ではおよそ通らない案件に対し何かしらの「挑戦」をすることについて、「不勉強だ!判例を知らないのか!」
「突飛な発想をしている!」
なんて言われたり笑われたりして、恥ずかしい思いをするかもしれません。
それでも、必要だと思ったらやる。そういう姿勢を持っていられたらなと思いますし、必要な時に実践できるように研鑽していかなきゃいけないなと思います。
自分のお尻をぺちぺち叩いて頑張ります。