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就職活動について(その2)

採用時期の波と私の方針について書いた前回の記事に引き続き、就職活動についてまとめていきます。

今回の記事は、選考内容についてです。具体例も多めに盛り込めるのでイメージしやすい部分があるかもしれませんね。私の体験をもとに主に弁護士事務所を想定して書きますので、企業に関しては異なる部分があるかもしれませんが、参考にして頂けるとは思います。また、東京でのお話になります。おそらく、他の大都市や地方とは毛色が異なるはずですので、その点もご注意ください。

 

選考内容

採用の流れ

多くの場合の採用は次のような流れで進みます。

 

説明会→応募→面接(×3回くらい)→内定

 

書類選考は、説明会前にある場合、説明会後にある場合、両方ある場合があります。説明会前に書類選考がある場合は、上記の応募と説明会の順序は逆になると思って頂ければ。

また、説明会は合同説明会と個別説明会があり、両方か後者のみというパターンが多いと思います。

以下、それぞれについて詳しく書いていきたいと思います。

 

書類選考

上記のように、書類選考は説明会前と説明会後になされる場合があります。また、必ず書類選考があるとは限らず、面接をすることを前提に書類提出のみ求めるところもありますし、書類選考と言いつつも実質的にふるいにかけていないようなところもあります。

書類選考にあたって必ず提出する書類は、履歴書です。履歴書は、①事務所指定のフォーマットに記入するパターンと②自分で用意するパターンがあります。

①の事務所指定のフォーマットに記入するパターンは、中規模以上の事務所に多く見られました。応募者としては、事務所ごとに記入をするのは非常に骨が折れるので大変なところなのですが、採用側の気持ちになってみると、事務処理の負担軽減と公平性を図るという極めて合理的な理由であり、やむを得ないのかなとは思います。ただし、こちらの応募に対し、一切返事をしないところや選考結果の通知をしないようなところもあり、それはあまり良くないのではないかと思いました。そういう事務所は、事務手続の処理がキャパシティを超えており、通常業務の方でもきちんと対応できていない可能性がありますし、仮にそうではない場合は、不採用者には返信の必要すらないというマインドであるということになり、それで果たして他の方との関係性は大丈夫なのかという疑念が生じるので。いずれにしても、お声がかからないのは私の実力不足でしかないのですが。このパターンで選考を通過できなかったのは、全て司法試験の受験回数の記入欄があったところでした。合格発表直後はこちらのパターンの事務所に複数応募しましたが撃沈してばかりで、結構落ち込みました。

②の自分で用意するパターンに関しては、私は、ネットに落ちている履歴書のデータを使って作成していました。その際、記入できないような不要な項目はガンガン削り、自分のアピールができる項目に差し替えて記入していきました。こうすると、情報量の多い履歴書になるので、面接官が目にとまる可能性のあるポイントが増やせます。また、自己PR書も添付するようにしていました。ここでは、法律にまつわる能力以外の能力をアピールするようにしていました。法律ができるかどうかは司法試験や予備試験、ロースクールの成績などである程度分かるものですし、他の応募者との差別化が難しいからです。こちらのパターンの書類選考は、全て通過できました。

他に提出書類として多いのが、志望理由書、大学・ロースクールの成績表、司法試験の成績表あたりでしょうか。

また、課題が課される場合もあります。課題の多くは基本7科目以外の法律に関するものでした。労働法の事例問題であったり(私の選択科目は知的財産法だったのですが…)、話題になっている分野の法律問題についての事例問題であったり。法律に全く関係のない小論文的なものもありましたね。時間をかけて調べられるので、なんとかならなくはないです。

ある程度、応募先は絞った方が良いです。履歴書等の作成と送付は意外と負担が大きいので、たくさん出すと自分の首をしめることになります。自分の首をしめた人としての心からのアドバイスです。

 

説明会

弁護士会、予備校、法律家団体などが主催する複数の事務所が集まる合同説明会と事務所ごとに開催される個別説明会があります。

 

合同説明会

一度に多くの情報を収集でき、かつ、事務所の比較もすることができるのでできる限り参加しておくと良いです。特に、東京三弁護士会合同説明会は最大規模なので、東京での就職を考えるのであれば行くべきだと思います。純粋に業界研究にもなるので、既に内定を持っていても赴いて損はしないです。

ただし、いずれの合同説明会も全ての事務所や企業のブースを回るのは不可能なので、動き方はとても重要になってきます。東京三弁護士会では、朝から休みなしで最後までフル稼働しても10か所しか回れませんでした。

東京三弁護士会合同説明会に関しては、予め参加する事務所と企業のリストが公開されますので、5つ以上は訪問する候補を決めておくと良いです。当日は、ブースの混み具合によって効率良く回れなかったりするので。私は実際それで少しタイムロスをしてしまいました。

また、前回の記事でご説明した「先手をうつ」アピール方法は東京三弁護士会ではかなり効いていました。ブースにたくさんの人が訪れるため、個性が埋没しやすいからでしょうかね。それと、できる限り志望度の高いところから順に回るようにしましたし、そうするべきだと思います。ブースに訪れた順番は、その後の採用における判断要素のひとつとして記録しておく事務所もあります。早くブースに訪問したことについて後の面接の際にお礼を言ってくださった腰の低い事務所までありました。

その他、友達と分担してチェックされていた方もいらっしゃいました。私も、予め分担こそしませんでしたが、合同説明会の後に友達と食事をして感想を話す中で教えてもらったことや気づいたことがたくさんありましたね。

合同説明会で人気が集まるブースは、1年目の年収の額面が良いところやある程度名の知れたところです。実際にブースに行ってみると、やはりそれなりの知見や努力が垣間見えてとても勉強になります。ただ、自分の応募先としてピンとくるかは別問題。ある事務所のボス弁は、毎年のことと前置きをした上で「明朗快活な人材を求めます」とおっしゃっていたのですが、連れてきていた若手の弁護士は、真逆のタイプ(非常にお話の声が小さく、とても落ち着いた雰囲気)の方で、ちょっと頭を抱えました。

あと、全く関係ないのですが、東京三弁護士会にロースクールで授業を受けていた教授がいらっしゃっており、自分に気づいて話しかけてくださったのがとても嬉しかったです。大きいロースクールなので、基本的に顔を覚えてくださっている教授が少なく、特に苦労して合格した生徒には関心がなくなってしまう方も多いのですが、温かい言葉をかけてくださりました。その教授の授業はロースクールに来て良かったなと感じられるとても丁寧で、深みのある素晴らしいものだったことも思い出しました。改めて、たくさんの方に支えられて今があることを実感。 

 

個別説明会

合同説明会に参加していたり、ひまわりやアットリーガル、ジュリナビなどの各サイト等での告知をしている事務所であれば、それらから個別説明会の情報を入手できます。他方、事務所のHP上でしか告知をしていない場合もあるので、お目当ての事務所がある場合は、定期的にチェックをしておく必要があると思います。

個別説明会では、合同説明会ではできなかったような時間をかけての説明をしてくださったり、事務所内を案内してくださったりします。また、突っ込んだ話もかなり出てきます。競合している他の事務所との比較とか。

個別説明会と言いつつ、行ってみるとすぐ面接が始まるところや、一通り説明が終わった後に面接が始まるところもかなり多いですので、事務所に訪問する際は、面接があるものだと思って準備をしておいた方が良いです。

 

面接

多くの事務所が採用までに3回くらいは面接をします。面接には必ず弁護士が現れ、事務員さんや秘書さんが同席されることもあります。面接官の数は事務所によってまちまちです。

ある程度の規模の事務所ですと、次の面接に進む度に以前の面接官より上の弁護士が出てくることになります(既に上の方の弁護士が出てきていた場合は、同じ弁護士または同じくらいのポジションの弁護士ということも)。最終面接ではボス弁が登場します(もちろん小規模事務所では最初からボス弁が登場することもあります)。なんだかゲームみたいですね。

基本的に面接で聞かれることは、志望理由や将来なりたい弁護士像です。あとの質問は、事務所によって様々ですね。最近、弁護士事務所への就活の本がいくつか出ているので1冊チェックしておけばある程度の質問は想定できると思います(私はジュリナビの方が書いているものを購入しました。大手と外資が好きな著者の気持ちが表出しているのでやや偏りはありますが、参考になります)。私のような司法試験を複数回受験した者は、複数回受験になった理由も必ず聞かれます。理由と言われても実力不足以外にないのですが、その失敗をどう今後に活かすかという視点を含めて話すことで多少ポジティブな回答にすることは可能です。どんな質問にも意図があるので、それを汲み取って回答できれば評価してもらえるのではないかと思います。

また、こちらから質問をする時間も必ずあり、その際には3つ以上は質問できるように用意しておくべきです。質問ができるかどうかも、評価の対象になっていますし、事務所によっては、全てをこちらからの質問に委ねる形の面接もあるそうです。

面接の形式としては、個人面接とグループ面接があります。個人面接は、とにかく聞かれたことに素直に答えていけば良いと思います。他方、グループ面接では、他の方との関係を意識する必要があります。例えば、質問に対する回答が挙手制の場合、積極性や協調性が見られていると思います。また、質問の回答が重複する部分がどうしても出てきてしまうため、言い回しを変えたり、別の視点を付け加えてみたりと工夫をすることになります。

面接に付随して筆記試験が実施されることもあります。試験内容は、適性試験であったり、民法であったり。抜き打ちだと対策のしようもないので、その場で頑張るしかありません。また、模擬法律相談というのもありました。私が弁護士役で、面接官が相談者役で。これも突然だったので、驚きましたが、開き直れる分こちらの方がやりやすかったです。模擬法律相談をやりますと告げられた時に、頭の中で求められていることは何かを必死で考えて「とにかく黙らない。重要そうな話を引き出す。自分なりの解決策の糸口を提示する。」といった方針を立てて、実行していきました。やはりその場で頑張るしかないです。

面接が会食になる場合もあります。緊張のしすぎで、電流が流されたかのようにお箸を持つ手が震えて全く口に運べなかったことがありました。思い出すとかなり面白い。

面接に関しては、事前にしっかり準備しておくとかなり負担が減らせると思います。事務所自体の情報を確認することはもちろんですが、それに加えて、私は、中規模の事務所までであれば、最低でも弁護士全員の顔、名字、出身校、専門分野は頭に入れてから望むようにしていました。面接官の弁護士がどういう方か分かっていると質問もしやすいですし、完全な初対面よりもひとつハードルが下がるので冷静さを保てます。

色々と書いたので精神的・体力的な大変さは伝わったと思いますが、楽しむ気持ちも持っておくと良いと思います。楽しんで面接ができた事務所は、入所してもポジティブに頑張れそうな気がしませんか?

ちなみに、私は、幸いなことに、面接までこぎつけた事務所はどこも最終面接まではいくことができました。もともとプレゼン能力が売りだったりはするので、それが上手くハマったのかもしれません。

以前記事にした最終面接までいって不採用となった事務所の先生の何人かとは今でもお付き合いが続いておりフィードバックを頂きました。ダメだった原因はその事務所の基幹業務に関するキーワードの発言回数が「少なかったような気がする」といった感覚的なもので、ギリギリで競り合っていた中で落とすための口実が見つけられてしまったからだそうです。もっと貪欲にいくべきだったのだなと反省。別の事務所では、課題の出来についてずっと怒られ続けて私が発言をほとんどできなかった面接もありましたが、なぜか通過できました。運や縁の要素もあるのかもしれないですね。

 

内定

最終面接後、早いとその日のうちに、遅くとも1〜2週間後には結果の通知がきます。内定を受諾すれば、一区切りということになります。私は、たまたま同じ日に2か所からの内定と1か所からの内々定を頂きましたので変にこじれることはありませんでした。タイミングがずれた場合や後に本命が控えている場合の対応は難しそうですね。

 

今回もだいぶ長くなりました。ここまで読んでくださりありがとうございます。他にも有益な情報などを思いつきましたら、追記しておきます。

読んでくださった皆様の就活が上手くいきますように。