弁護士になった「その先」のこと
『弁護士になった「その先」のこと。』を拝読いたしました。
弁護士の仕事への向き合い方を学べる良書です。
著者の中村先生の事務所のアソシエイト向けの研修を本にしたものなので、企業法務系事務所寄りの内容ありますが、あらゆる弁護士が知っておくべきことが盛りだくさんです。
弁護士になって半年以上が経ったこのタイミングで読めたのはすごくラッキーだなと思います。
若手弁護士の皆様におすすめできる本です。
司法修習生の方が読むのも良いかもしれませんが、弁護士になってから読むのでも遅くはないと思います。
非常に読みやすく1日で一気に読み終えてしまいました。
これだけの情報量で2000円と、この業界の本では良心的な価格設定なのも嬉しいところ。
私は、第Ⅲ講の「営業の仕方」のところが特に勉強になりました。
「たしかに弁護士の仕事のおもしろさはそこにあるよなー」と共感する記述があります。
それから、楽しんで仕事をすることはとても大切なんだなと。
辛く大変な部分もあるからこそハッピーな気持ちを持っていないとですね。
新人として舐められても
1年目の弁護士としてやっていると、関係者から舐められているなと感じることがあります。
でも、1年目であることは紛れも無い事実ですし、そこに抗う必要はないのかなと思っています。
(自分を大きく見せると現実とのギャップで苦しんでしまいそう。)
むしろ舐めてもらっていた方が良い部分もあります。
私は自分なりに自分の仕事をきっちりとやっているつもりです。相手が新人だと思って手を抜いてくれるのなら、刺せる隙が増えるだけだと思います。
また、期待値が下がっている分、相応の仕事ができれば評価してもらいやすいです。「新人なのに頑張っているね」となります。
あまり良い気持ちはしませんが、他人をコントロールすることは不可能なのでそれはそれと割り切ってしまうようにしました。
この問題は多くの弁護士が通る道です。だからこそ、ここで変なムーブをとらないことは今後のためにも重要な気がします。なんとなく。
自分への評価に対するプライドを高く持ちすぎないが、新人だからといって気後れもしない。
これくらいの感覚がちょうど良いのかなと思っています。
ぺこぱみたいになりたい
この前、Amazon Prime videoで2019年のM-1を見ました。
どの芸人もネタや平場での対応で笑いを使っていて、おもしろくて。すごいなーと。プロだなーと。
で、「ぺこぱ」さんが私はすごく好きです。
ツッコミの松陰寺さんは、すごく優しい方なんだろうと思います。ボケのシュウペイさんも愛嬌があって素敵ですよね。
そうした人柄をベースにきちんとキャラも技術も乗っけておもしろい漫才をされているところに感動しました。
松陰寺さんのツッコミが特に好きです。
ダイバーシティなんかが強調される現代。「一般的」とされる型から外れたところに切り込む役割を持つツッコミとの相性はあまり良くないと思うんです。
この壁に、1度のツッコミで1回フリをきかせてから肯定して落とすという形を産み出して対応したのが本当にすごい。しかも、ちゃんとおもしろいという。
弁護士をやっていると、関係者の皆様のことを考えた時に、求められている結果を獲得することが正しいのか迷うことがあります。
ぺこぱさんの優しさと笑いを両立させるお笑いのように、私も弁護士として、優しさと結果を両立させられるような仕事をしたいなと思います。実現することは簡単ではないし、できないケースも多いけれど、常に意識するように努めます。
相手の方からの声
司法修習生の際、民事弁護教官が、「相手方当事者から自らの弁護活動につき賛辞を送られることは弁護士冥利に尽きる」とおっしゃっていました。
先日、私も相手方との面談の際にそうした言葉を頂くことができました。
その方は、多くの弁護士とやりとりをされている方ですので、一筋縄ではいかない場面も少なくありませんでした。
それだけに最初はとても驚きました。後から冒頭のお話を思い出してじわじわと感謝の気持ちが出てきたという感じです。
実際にご依頼のお電話まで頂いたので社交辞令ではないのでしょう。(利益相反等の関係でお受けできなかったのですが、こういう時に信頼できる弁護士を紹介できると良いなーと思いました。)
本当にありがたいです。
「目の前の仕事を一生懸命やると自然と仕事がついてくる」という話にはこういうパターンもあるのですね。勉強になりました。
この方とのやりとりでもうひとつ学んだことは、相手の求めているものをしっかりキャッチした上で形にして投げ返すことの大事さです。
相手の求めていることは、相手の言葉や行動から読み取れることも少なくありません。ここへのアプローチがしっかりできれば、良い方向に話が進められることもあると思います。
ご依頼頂いた方のみならず相手の方や関係者の方の気持ちにも配慮できる弁護士になれるよう努めます。
言うのは簡単ですが、実際にやるのは難しい。とても。
4連休最終日
4連休の最終日みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
私は今日もお仕事でした。(「も」から他の日がどうだったかはお察しください。ほろり。)
本来であれば完全オフだったのですが、新規のご相談のお客様がどうしてもということで、法律相談のために事務所へ。
約束の時間。
「あれ?時間になっても来ないな。」
約束の時間から5分経過。
「道迷ってないかな?大丈夫かな?」
約束の時間から10分経過。
「心配になってきたな。とりあえず電話してみよう。」
プルル。
わたし「もしもし」
お客様「あっ、すみません。相談料払うのが難しくなったのでやめることにしました。失礼します。」
ツーツー。
こうして私の4連休最終日は終わりを迎えましたとさ。
元々、複数件の相談+「別の弁護士に依頼しているが乗り換えたい」というご希望ということで、やや警戒が必要だなと考えていました。
そこで、お時間分の相談料を頂くことを明確にお伝えしていたのですが。これが良くも悪くも効果となってあらわれた形になります。
警戒していたとはいえ、相談を受ける以上は入念な準備は欠かせません。
リサーチや資料の用意はかなりきちんとしていたつもりです。法律相談料分以上の仕事はできると思っていました。
それだけに残念な気持ちは拭えません。
反省として、ドタキャンの理由を考えてみました。
・相談料の問題
当初から法律相談料を払いたくないようなニュアンスのことをおっしゃっていました。無料相談ができる事務所もあるとご案内はしています。
・経験の問題
「先生のご経験は?」と聞かれることがありました。偽ったり、見栄をはったりするべきではないので、弁護士1年目であることや類似の案件の取り扱いはしたことがあるが決して多くはないことをお伝えしました。
予算内で経験のある弁護士へ依頼できるならばそちらが良いかもしれないということ、相見積をとってみることなどを提案しています。
・ご相談者様間の問題
お電話口のご相談者様ともうひとりのご相談者様との間で弁護士への依頼のスタンスにギャップがあるように感じていました。上のやりとりでは省略しましたが、そのような理由もキャンセルの原因であるとの示唆がありました。
・電話までの経緯
個人事件かつ面識のない方からの相談依頼でした。これが事務所案件であったり、面識のある方だったら違う展開になっていたかもしれません。受任のルートをしっかり整備して同じようなことがおきないようにしたいです。
・ご相談者様の属性
予約のお時間をご相談者様の都合で一度変更していました。また、連休中の対応も一度はお断りしておりましたが、強くご希望されたのでお受けしたという経緯があります。
不思議なのですが、相談やお電話のお時間・お日にちを指定される方ほど実際にそのタイミングでの対応ができないことが多い気がします。こちらから日時を指定するくらいのスタンスでも良いのかもしれないですね。
色々理由をあげてみましたが、結局は法律相談をしたいと思って頂けるほどの魅力が私になかったのだと理解しています。それにしても受任に至るまでのハードルって決して低くはないですよね。
目の前にあるできることから、少しずつ頑張っていきます。